社会人になるにあたって、自分は何も疑問を持たずに就職するという道を選んだ。一方で、世の中には起業家として会社を興す人もたくさんいる。正直なところ、自分には就職当時に起業するという発想がまったくなかった(というか、今もない)。そのため、令○の虎に登場するような起業家(のたまご)たちがどういうマインドを持っているのか、あまり想像がつかないのだ。
しかし現代のサラリーマンという存在に限界を感じるというのもわかる気がする。会社によってはすぐに昇進できるわけではないし、報酬レンジもある程度決まっている。そのため、生涯で自分がいくらもらえるのか、ある程度わかってしまうのだ(そしてわかったうえで、わりと萎える)。
ビッグなビジネスをやる気概はないけれど、経営者となって何かビジネスをやってみたい。そういった人の願いを叶えてくれそうなのが、レンタルスペースビジネスだ。「起業」というととにかく大きなことをやって、がっぽり稼ぐというゼロヒャクのイメージしか持たない自分のような人間には、有意義な内容となるだろう。

本記事のサマリー:
- 固定資産を持たないスタイルは今の時代に合ってるよね
- 本当にスモールスタートが可能だから誰でも手をつけやすい
- でもこれって、すでに先駆者が美味しい思いをしたあとでは…?
読んだ本
- タイトル:サラリーマンはレンタルスペース投資をはじめなさい
- 著者:宮崎章広
感想云々
固定資産は最小限に
レンタルスペース投資のいいところは、固定資産として所有する必要がないということだ。最近では一部の界隈で「ハコモノ行政は悪」みたいな風潮もある。そのため、地域によっては美術館・博物館・図書館など、用途がほぼひとつのハコモノは減少傾向にあったりもするのだろう。
個人レベルに落とし込んだとしても、固定資産を所有したがらない風潮があるのではないかと感じている。というのも、近年ではNISAをはじめとした投資の話題がトレンドにあがりやすい。そのことによって、マネーリテラシーがある程度身についた人も多いのではないのだろうか。マネーリテラシーが身についた人は、今自分の身の回りのものがどれだけコストがかかっていて、どれが無駄なのか、ということにより目を向けるようになるのだ。そうすると断捨離の対象(というかそもそも手を付けない領域)に挙がるのが家や車である。よくよく考えてみたら費用対効果のよろしくないこの2つは、時代が変わるとともに、固定資産として「所有する」という発想が人々の頭からなくなりつつあるように思える(穿った見方をすればただの借金だし…)。
そんな中で固定資産を持たないという選択肢が取れるレンタルスペースビジネスはうってつけだ。自分で物件をレンタルして、内装を少しいじって、それを誰かに貸し出せばよい。リスクも少なく、ビジネスモデルもいたってシンプル。ビギナーにとっては非常にありがたい話である。
スモールで非常に始めやすそう
本ビジネスにおけるスモールスタートというのが本当にスモールというのも、自分にとっては非常に魅力的に映った。以前「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」という本を読んだ。著者から(というか起業家からしてみれば)300万円はスモールスタートということになるのかもしれない。だが普通にサラリーマンとして働いている身からすれば、いきなり300万円というのは、なかなかパッと踏み切れるような金額ではない(自分が貯金していないだけか…?)。
一方でレンタルスペース投資は初期投資50万円と、比較的少なくて済む。人によっては、夏のボーナス1回分とかで賄えそうな金額である。これならば、投資回収もそれなりに早いし、失敗したときのリスクも比較的小さい。50万円はまぁ惜しいが。神頼みで宝くじを買ったり、ギャンブルに興じるよりもずっと現実的なマネタイズ方法ではないだろうか?
この情報を本で読んでいるころには…
「これなら自分にもできそう」と皮算用を始めたところで、ひとつ気にかけておかねばならないことがある。それは、こういった情報が一般人に降りてくるころには、時間が結構経過している、ということである。投資と一緒で、先見の明のある先駆者たちがおいしいところをある程度食い尽くして、そのおこぼれにあずかっているだけなのだ。
確かに本書に書いてある方法を実行すれば、運が良ければ儲けることは可能だろう。だが現時点でこれを読んだ我々は、ゴールドラッシュでいうところの「ツルハシを買う」側の人間。そのことを理解して頭の片隅に留めることが必要だな、と思っている。
とはいえ、その情報を差し引いても恐らく得られる利益のほうが大きい。それにすでに誰かがやっているという事実を「レッドオーシャン」と見るのか、「実績がしっかりとある」と見るのかも考え方次第である。先駆者のようにがっぽりと稼げるわけではないが、そこそこ儲かる。実績がたくさんあるから、起こりうるリスクへの対処法など、ノウハウもしっかりとある。多種多様でもないから手法も画一的である。あまり面白いビジネスとは言えなくても、あまり多くのことを考えずに稼ぎたい人にとっては嬉しい情報なのかもしれない。
終わりに
宝くじとか競馬とか、どうしても一攫千金に夢を膨らませて手をつけがちである。でも本当に「夢がある」というのは、こういうリスクが低くて、再現性もあって、堅実にマネタイズができることを指すのかもしれない。これはよだれが出るぜ…!
それでは。
