語彙をうまくアウトプットするには | 語彙力こそが教養である #6(続編)

 語彙のアウトプットは難しい。普段色々なメディアに触れていても、いざその中の言葉を使おうにも、その言葉自体覚えていないことが多い。それに語彙を誤用すると(大いに)恥をかくことにもなるし、それ以降は難しい言葉を使うことが億劫になってしまう(これは語彙力を減衰させるひとつの原因だろう)。

そんな語彙のインプット方法については、齋藤孝氏著の「語彙力こそが教養である」という本をもとに別記事にて述べた(本文はその続きである)。本書の後半では、インプットした語彙をどうやってアウトプットにつなげたらよいか、という内容が同様に簡潔に述べられている。

感想云々

そもそも語彙のアウトプットには2種類ある

本書で述べられているアウトプットの種類は以下の2通りである。

  1. 定着のためのアウトプット
    これは語彙を実際に口に出して、手を動かしながら表現したりと、言葉を頭に定着させるためのもので、いわば「練習アウトプット」である。
  2. 実践のためのアウトプット
    こちらも文字通りだが、前述の練習をもとに実践の場で使うことである。シチュエーションにあった的確な言葉を瞬時に語彙のストックから取り出す、いわば「本番アウトプット」である。

インプット方法に限っていうなら、語彙はわざわざ気合をいれて、部屋に閉じこもって、机に向かって集中して…!なんてことをしなくてもインプットできるということが本書でわかるだろう。しかし語彙をせっかくインプットしても、お金同様そのままでは真価を発揮しない。「いかに貯めるか」も大切ではあるが、それらを「いかに使うか」を考える必要がある。その際、前述の2種類のアウトプットのどちらが欠けても意味をなさないのである。

語彙をアウトプットする方法

 前述の2種類のアウトプットを踏まえたうえで、本書で述べられているアウトプットの鍛え方は全部で8つある(多い!)。すべての記載は避けるが、その中で「なるほど」と感じたものを2つだけここに挙げる。

  • オウム返しをする
    言われてみると「確かにそうか」と思うかもしれないが、確かに有効な方法である。ビジネスにおいては特にそうだろう。昨今多用されるマーケティング用語などをはじめ、アルファベットの略語は会社や業界によって読み方が異なる可能性がある。そんな怪しい言葉に出会ったら、先人や先輩のマネをするのがベストだ(その先輩が誤用していたら元も子もないのだが)。
    オウム返しをすることで読み方を覚えるのはもちろん、シチュエーションまでセットで覚えることができる。それにオウム返しといえど、自然にやればただの相槌にしか聞こえない。統一して存在していない言葉は、合わせてしまうのが賢明な場合があるのだ。

  • 笑いをコピーする
    落語や漫才(特に落語)は時には同じ話をしているように見えて、やはりいつ聞いても涙が出るレベルで面白いものである。しかし、普通の人が同じように面白い話を他人に伝えるのはどうしても難しい(意識せずすでにできる方は流石だが)。その原因は語彙や口調を軽んじているからだ。
    面白いフレーズには、言い回しの妙によってその場の空気をコントロールする力がある。逆にいえば、そのフレーズをそのまま覚えてそのままの口調で使わなければ、言い回しの妙は消えてしまう。完璧な伝言ゲームをすることが、笑いを壊さずに伝えるコツなのだ。そのために笑いの娯楽を参考にし、ネタとして他人に披露してみせるのはいいアウトプットの第一歩かもしれない。

終わりに

 「言葉はただの手段や道具である」なんて簡単に言えないが、それでも語彙を教養として身につけるのはゴールではないと感じる。超基本的なことで言えば、メールの語彙は仕事をするうえでの必須のスキルだし、的確なユーモアで場の雰囲気を変えたり、伝える力に直結して言葉で人を動かすこともできるのだ。

そのために、語彙のアウトプットはやはり避けて通れない。とはいえ、「語彙力を増やしてやるぞ!」なんて肩に力をいれずに、ゲームのレベル上げのように、楽しみながら語彙力のスキルポイントを稼いでいきたいものである。


それでは。

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